食用油の適切な温度
- 炒め物料理などをするとき、よくフライパンを温め油の温度を上げるようにと言われます。手際よく炒めているつもりなのですが、でも、食材が焦げてしまうのに中まで火が通っていなかったりして上手にできません。なにか、コツのようなものがあるのでしょうか?
- テレビの料理番組で、出演している料理研究家やプロの料理人がフライパンを使って料理をする時、「油から煙が立つまで充分にフライパンを温めて下さい」と言っていることが結構ありますね。有名な先生が言っていることですから、きっと多くの視聴者は全く疑うこともなく、「フライパンを温める時は、フライパンに入れた油から煙が立つまで温めるのだ」と信じて毎日ご家庭で料理をなさっているのではないでしょうか。
しかし、今日ではこれは完全に間違いです。なぜ「今日では」と言うのか、それは昔の油と今日の油とでは「油の精製度」が全く違うからなのです。
昔の油は精製度が低く、油の分解物が相当量混ざっていたのです。しかもこの分解物によって油が酸化することを防ぐための酸化防止剤も多く含まれていました。このような油を料理に使う場合は、「一度煙が立つまで強く加熱して」油に含まれる不要なものを煙にして逃がす必要があります。しかも油には酸化防止剤が多量に含まれていますから、強く熱しても油の傷みは少なくて済んだのです。
(※写真ではわかりにくいかもしれませんが、フライパンから煙が出ているカットです)
一方、いま一般に販売されている食用・料理用油は極めて精製度が高く、油の分解物などはほとんど含まれていませんし、くせも殆どありません。そのため、煙が立つまで温度を上げる必要など全くありません。もしも、温度をそこまで上げたら、逆に油の酸化がどんどん進み、つまり傷みがどんどん進み、べとついてしまいます。こんな油でお料理をしても、美味しくなくて、健康にも良くないものが出来上がるだけです。油の品質改良がどんどん進んでいることが、意外と知られていないということなのでしょうね。
今日一般に販売されている精製度の高い油で、誰が見ても煙が立っていると分かる状態は、油の温度がすでに230℃程度に達しているということです。「焼く、炒める、揚げる」調理温度の上限は約180℃ですから、油から煙が立つなんてとんでもないことなのです。食材の表面が「キツネ色にこんがり」仕上がるのが正しい温度で調理しているというサインです。野菜の切れ端などを数切れ炒め、表面がキツネ色になる頃合いをみて調理を始める目安にするといいでしょう。そして、この頃合い加減を五感で覚えるようにして下さい。それが、調理上達の第一歩です。「美味しくて、健康にも良い料理」のためにも、正しい温度で調理する、これを完全に自分のものにすることですね。ちょっと気を付ければ、すぐに身につきます。難しくもなんともありません。ちょっとだけがんばってみて下さい。




