0303_基本

砂糖とみりんの違い

今回のお悩みは?

  砂糖とみりんの使い分けについて教えて下さい。どちらも甘味をつけるときに使う調味料ですが、どういうときにどちらを使えば良いのかわかりません。同じ料理でも、料理の本によって、みりんを使っていたり砂糖を使っていたり、はたまた両方使っていたり…。
それから、みりんがない場合には、その代用として、日本酒+砂糖としてもよいのでしょうか。
ぜひ教えてください。
確かに、料理の本を見ても、テレビの料理番組を見ていても、「砂糖」と「みりん」の違いを分かりやすく説明しているようには思えないですね。きっと多くの人が混乱しているのではないかと、私も感じています。なぜこのようなことになってしまうのでしょう。
今回、今後はもう誤解が生じないように、砂糖とみりんの違いについてきちんと説明申し上げたいと思います。

岡山晄生先生のここがポイント

Point1

それでは「砂糖」の説明から始めましょう。
まずは「砂糖の役割」です。おそらく相当多くの人が、砂糖の役割は「食材に甘味をつけることだけだ」、と思っていらっしゃるのではないでしょうか。確かに、多くの場合「砂糖」は、食材に甘味をつけるために使われていますが、実は「砂糖の役割」はそれだけではありません。もっともっと大きな役割を果たしているのです。甘味を含めて順番に列挙してみましょう。
★まず食材に「甘味」をつける : 多くの人がきっと砂糖を使う唯一の目的だと、自分で勝手に思い込んでいるのでしょうね。
水分を吸収し、その水分を抱え込む : 砂糖が持つこの性質のお陰で、料理から水分が逃げないので、出来上がった料理がしっとりとするのです。この特徴を生かした代表がカステラです。 パサパサなカステラはカステラとは言えませんよね。水ようかんも同じです。水ようかんに加えたたっぷりの砂糖が水分を抱え込むので、水分がしみ出しにくくなるのです。
食材の保存性を高める力があります : 砂糖をたっぷり加えて煮込んだ餡子(あんこ)、日持ちが悪い小豆も、こうすると長く持つのです。砂糖をたっぷり加えると、微生物の繁殖を抑えることができるのです。その結果、食材の保存性が高まります。
料理が酸化することを防止する : 料理が酸化するということは、料理が傷むことです。それを防止する効果があるということです。
★砂糖の香りが、料理の風味を良くする : 砂糖を温めると、165〜175℃辺りで「キャラメル状」になり、キャラメル特有の良い香りがします。その香りが料理の風味を一段と良くします。
料理の表面にツヤが出ます。
★酸っぱい味や苦い味を和らげ、美味しく、食べやすくなります。
★食材の不快な風味を消してしまいます。
★ゼリーを作る時、砂糖を混ぜることで、上手に作れるようになります。
★メレンゲを作った方はご存知だと思いますが、砂糖を入れて泡立てると、入れないで泡立てた時と比較すると、泡の消え方が断然遅くなります。ゼラチン液を泡立てる時も、砂糖を入れて泡立てると、砂糖が泡を守ってくれます。空気をたっぷりふくんでいるかどうかがアイスクリームのレベルを決めてしまいますが、撹拌してたっぷり含ませた泡状の空気を守るのも砂糖です。

砂糖の働きはこんなにあるのです。この働きを上手に活用することで、料理の味も、食感も、保存性も違ってくるということです。

Point2

次は「みりん」です。
まず最初に知って頂きたいことは、「みりん」は「お酒」だということです。 ですから「みりん」を料理に使う目的の基本は「お酒」を料理に使う目的と同じなのです。
実際に料理に使う「お酒」としては、日本酒、みりん、ワイン、シェリー、ブランデー、ビールなどがあります。
料理に、これらの「お酒」を使う目的はなんでしょう?
肉の生臭ささや、魚の生臭ささを消すことです : 「みりん」は、米麹(こめこうじ)と蒸したもち米を混ぜて、そこに焼酎を加え、数か月寝かして作ります。この数カ月の間で、麹菌の力で「みりん」になるのです。この「みりん」に含まれる麹菌が分解した成分が、魚の生臭さの成分と結び付き、臭みを消してしまうのです。
★出来上がった肉料理、魚料理の風味を良くすることです: 醤油、酢、オリーブ油を混ぜ、そこに「みりん」や「ワイン」などのお酒を入れて混ぜ、そこにお肉や魚を漬けこみ、しっかりと馴染んでから、焼いたり、煮たり、揚げたりすると、それぞれの食材の持つ特徴を生かしながら、さらに美味しい料理となります。
★お酒の香りを料理の表面につけることです:ステーキを焼く時、焼き上がり直前にワインを振りかけ、火を入れてアルコール分を燃やし飛ばすことをします。 こうするとステーキの表面にこうばしい香りがつき、一段と美味しいステーキとなります。
「みりん」に含まれる、魚の臭み成分を消してしまう麹菌の成分は、温度が高くなっても蒸発しないので、「煮切って」アルコール分を飛ばしても、魚の生臭さを消す力が失われません。
もうお分かりですね。「みりん」を料理に使う一番の目的は、「魚の生臭さ」を消すことなのです。「甘味」はおまけです。

ここまででもう、「砂糖」と「みりん」の違い、使用目的の違いは充分にご理解いただけたと思います。
しかしそれなのに何故、質問者は「どちらも甘味をつけるときに使う調味料ですが」という理解をしてしまったかということです。
私は、理由はふたつあると考えています。
ひとつ目は根本の原因になりますが、「みりん」を料理に使うと、実際に「甘味」を加えることができることです。
そしてふたつ目は、料理の本の説明、テレビの料理番組での説明でも、「みりんでも甘味がつきますから、みりんでも結構ですよ」とだけしか説明しないことにあります。やはり、プロが「砂糖」についても、「みりん」についても、日頃から正確に伝える必要があるということでしょうね。

「砂糖」だって「甘味」だけが使用の目的ではない。
「みりん」の本来の目的は「甘味」ではない。
これをきちんと理解なさって、本来の目的に合った使い方をなさることで、料理のレベルは一段と向上することと思います。



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