0303_基本

鶏肉を調理の際に洗うのか?

今回のお悩みは?

  鶏肉など(カットしてあるものも、丸のままもですが)は、調理の際、洗って使うのでしょうか?
今更で恥ずかしくて聞けないまま月日が過ぎてしまいました。
恐れ入りますが、是非教えて頂きたいと思います。
今回のご質問には、まず結論から申し上げましょう。
ご自宅のキッチンで、鶏肉を汚してしまったとか、特別のことが起きてしまった場合は別ですが、鶏肉の扱いをきちんと行っている限り、洗う必要は全くありません。
実は正直申し上げて、今回のご質問には始めは私もかなり驚いてしまいました。その結果、日生協の担当者から送信されてきてから、こうしてお答えを書くまでに一週間もかかってしまいました。 しかし日本には、昔から「聞くは一時の恥、聞かざるは一生の恥」という言葉があります。
恥ずかしくて聞けないまま過ごしてこられた質問者が、勇気を出して質問なさった気持ちに応えられないとしたら、これは私に問題があります。
そう思って、お答えを書いております。

思い出してみると、私の自宅の近所にも「鶏肉を洗ってから調理する」年配の女性がいらっしゃいました。若いお嫁さんが「うちの義母は、絶対に鶏肉を洗ってからじゃないと調理しないの」、とこぼしていたのを思い出しました。もう30年ほど前のことです。

そして実は、今回のご質問を読んでから、日頃私がお付き合いしている人達にも「料理の前に鶏肉を洗うかどうか」を質問してみました。その結果、「必ず洗う」と答えた人が数人いました。よく聞いてみると、『今日の飼育環境、飼育技術、飼料、顧客に届くまでの様々な処理技術と管理レベルを考えたら、きっと洗う必要はないのだろうと思うけれど、洗った方が自分が納得できるから』、と言うことでした。その人の気分の問題だということです。気分的な問題となると、これはもう理屈を離れた、その人の気持ちが納得するかどうかという領域のことですので、私がとやかく言う問題ではありません。

岡山晄生先生のここがポイント

Point1

さて、そうは言ってもここで終わってしまっては、説明する私もすっきりしないので、私が付き合っている山形の養鶏のプロに、今日の鶏肉の処理について質問し、細かく教えてもらった内容にふれてみたいと思います。ちなみにこの方の農場からは、生協にも鶏肉が出荷されています。 この方の説明には、私も納得いたしました。
10年ほど前から法律が変わり、今日では、年間30万羽以上出荷する養鶏場の場合、処理工場に入る時点で、保健所職員による「目視検査」が義務付けられています。
1羽残らず全ての鶏を保健所職員が目視検査するということです。
出荷量が年間30万羽以下の養鶏場の場合も、検査資格を持っている専門家による、同様の全ての鶏の目視検査が義務付けられています。
6〜8羽が、ひとつの籠に入れられ、籠ごとに検査されて行きます。
つまり今日、私たちの家に届く鶏は、まず処理工場に入る時点で、専門家による目視検査で、合格不合格の振り分けが行われているということです。
ここが第一のチェックポイントです。
そして、この目視検査で合格となった鶏だけが処理工場のラインに入って行くことになります。  こうして処理工場に入り、ラインに乗って、次々に作業が行われますが、内臓を外した段階で、内臓と鶏肉が、保健所職員、または検査有資格者によって、再び全て検査され、合格不合格の振り分けが行われます。
ここが第二のチェックポイントです。
問題のあるものは、ここで全てラインから除去されます。
ここで合格と判定された鶏肉と内臓だけが、それぞれ別のラインに乗り、出荷される形にするための最終作業ラインに乗りますが、最終ラインの入り口で、まず完全に洗浄されてから、部位ごとに分けられるなどの作業ラインに乗ります
そしてもうひとつ大切なことですが、ここまでの作業はもちろん、この後の作業工程でも、作業手順に合った温度管理、そして肉質を保つための温度管理は、当然完璧に行われているということです。

このような作業を経て、私たちの家に鶏肉が届きますが、多くのメニューの場合、家庭ではさらに「加熱調理」をします。これも安全を考えると重要なポイントと言えます。家庭での保存、保存時間、加熱、これがきちんと行われるならば、なんの不安材料もないと考えてよろしいのではないでしょうか。

しかし最後に食材の基本知識で最も重要なことをお伝えいたします。
「この地球上には、100%安全な食材はひとつも無い。同時に、100%危険な食材もない。安全か危険かを決めるのは、摂取する量によって決まる」、ということです。
バラエティーに富んだ料理を、適量食べる。これが大事だということです。
これで質問者の悩みはきっとなくなると思いますが、理屈は理解できても、それと気分とが合致しないという方も世の中にはいらっしゃいます。それはそれで良いと思います。
どうぞ理屈が分かった上で、ご自分の気持ちにも聞いてみて下さい。



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